NARUTO ナルト ブログ・ふりやまないあめ われ、きたるなり!! ~自来也外伝 巻ノ二

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われ、きたるなり!! ~自来也外伝 巻ノ二



人への憎しみがわしの全てだった。しかし、わしは人の美しい所を知る為、人の形で産まれ堕ちたのかもしれん。.....大蛇丸





眼下に広がる隆々とした岩山に囲まれた湖を越えると、柔らかな光に満ち溢れた大地が広がっていた。

その大地の上空、飛行をする若者に出逢った。

若者「旅の人、脚に気が満ち過ぎです。このまま飛び続けたらその脚、燃え尽きてしまいますよ」

児雷也「若者よ、天竺に行かねばならねえんだ。心配は有り難いが、先を急ぐのだ」

若者「ここがその天竺です。とにかく地に降りた方がいい」

児雷也「天竺についたのか…」地に降り立った児雷也の脚は熱気に揺らいでいた。腰を落ち着ける間も無く若者に尋ねた。

児雷也「栴檀香樹で造られた香を南の州に持ち帰らなければならないのだ。おぬし、どこで手に入るか知らんか?」

若者「栴檀香樹なら天竺のどこにでも生えていますよ。この土地が光に包まれているのは栴檀香樹の林粉が舞っている為です。ほら、あそこの光り輝く林がそうです」

児雷也「ああ、若者よ。礼をいうぞ。さあ、俺は行かねばならねえ」

若者「お待ち下さい旅の人。あなたの脚はどうみても限界です。これまでの距離を飛んで帰るのは無茶です」

児雷也「そうか、飛行の術者が無理とみるなら無茶かもしれん。だがな、この脚が燃え尽きようとも帰らねばならぬ訳があるんだ」

若者「わかりました。よほどの事情がある様ですね。ただ、危険がわかっていて知らぬふりができる性分ではございません。出会ったのも何かの縁。ならば御仁にこれを差し上げましょう」


手渡された黒い小さな玉は不思議な事に手の中で浮いていた。


若者「空即大蓮花の種です。私は幼き頃よりその種を煎じたものを少しずつ飲み続け、飛べる様になったのです。
空即大蓮花は天の花、その種は天へとその芽を伸ばします。もし、脚が燃え尽きて地に落ちそうになったらその種を飲んで下さい。
ただし、長時間飲み込んだままだとやがて腹の中で花が咲き、その身は天へと持って行かれてしまいます」

児雷也「そうか。こうなったら脚だろうが身体だろうがどうなろうとかまわぬ。綱手を救う為、この命が尽きようとも必ず帰らねばならぬ。ありがとうよ」

若者に礼をいい、栴檀香樹の枝を懐に入れると光の大地を飛び立った。
飛び続けた児雷也に南の州が見えて来た。しかし、すでに脚は炎に包まれ、燃え尽きようとしていた。

児雷也「もうすこしだ…」

児雷也は最後の気力を振り絞るが、徐々に墜落を始めた。

児雷也「あの種を…」

地に堕ちながら種を飲み込むと不思議な事に身体がふわりと軽くなった。

児雷也「これでまだ飛べる・・・」

燃える脚の負担が減り、なんとか飛び続け、そしてとうとう綱手のもとへたどりついたのだった。



児雷也は香を焚くために火を着けるが、香はすぐに消えてしまった。傍らにいる仙素道人も首をかしげた。

仙素道人「これは天竺の空気の対流の中でしか着かんのかもしれん」

児雷也「そっ、そんな…せっかく持ち帰ったというのに」


仙素道人「ふむ。じゃが心配はいらん。越中立山の仙人のもとに、八腕銀香炉という天竺で作られた香炉がある。
その昔、天人が使っていた物で、火をくべなくとも入れた香は自然に燃え立つのじゃ。今から儂が取って来よう」

床に臥せている綱手は息も絶え絶えに児雷也をねぎらった。

綱手「あんた、私の為に脚が使いものになんなくなっちまって。お願いだからもう無理はしないでおくれ…」





児雷也「何をいいやがる。水辺の絆は沼より深いさ。お前と俺は一蓮托生。お前が死んじまうくらいなら、脚が炭になる事ぐらいどうってことはねえ」

越中立山に降り立った仙素道人を待っていたのは大蛇丸だった。
児雷也が天竺へ栴檀香樹を取りに行った事を知った大蛇丸は先回りをし、八腕銀香炉を奪ったのだった。

「飛行の術か。しかし奴の脚は燃え尽きてしまってるではないか。何故なのだ?人というものの本質は利己的で傲慢なものだ。情というものも、自身の利益や命がおびやかされると簡単に捨て去る薄っぺらい感覚なはずだ。奴は何故そこまでするのだ」

南の役人が沼に毒を撒いて以来、事の顛末を見届けようと密かに伺っていた大蛇丸は、児雷也の行動が理解出来なかった。


大蛇丸「児雷也よ。蛇の化身に八腕銀香炉が奪われた。綱手の浴びた毒といい、どうやらそいつの仕業じゃな」


児雷也「蛇の化身…。おっ おろち丸!!!」


大蝦蟇は怒っていた。我が住む沼が蛇の毒に侵されている。我を呼ぶ巻物使いの気が弱まっている。

巻物に描かれる紋には、太古よりの蝦蟇の気を全て呼び起こし、唱える者にその気を注ぐ力があった。
大蝦蟇は念じた。我は怒ってる事を。

大蝦蟇「巻物使いよ。我のすべての力を使え。我と共に戦え」

児雷也は内なる力を感じた。怒りだ。今までにない怒りが激しく沸き上がる。脚は使い物にならない。が、怒りが身体を突き動かした。風がおこり雷雲が集まる。
児雷也は手印を結び紋を唱えると大蝦蟇を召還した。

八腕銀香炉を奪った大蛇丸は赤蓮沼のほとりに立ち、見上げた空には雷雲が立ち込めてきた。

大蛇丸「嵐か…」

そう思い、池を立ち去ろうとした瞬間だった。轟音と共にいくつもの雷が大蛇丸を襲った。危険を察知した大蛇丸は手印を結び、大蛇を召還した。
大蛇に乗り雷を躱す中、大きな炎が身を焼いた。

「大蝦蟇!」

目の前に現われた大蝦蟇は、以前とは比べ物にならない大きな気を放ち、跨がる児雷也の目は強靱な意志と果てしない怒りを帯びている。大蝦蟇の口から吐き出される炎はこの世の全てを焼きつくすかの様だ。

大蛇丸「何故だ児雷也よ。その気の扱い方ではその身もやがて燃え尽きてしまうぞ」

激闘の中、大蛇丸は跨がる大蛇が脅え始めているのを感じた。その瞬間、頭に声が響いて来た。

……「大蛇丸よ、何を憎み悪事を行う。自分が蛇の化身である事を何故そこまで呪うのだ」





大蛇丸「誰だ?誰がわしに話しかけておる?」

炎の中の大蝦蟇が大蛇丸を見据えていた。

「大蛇丸よ、我ら蝦蟇は蛇に喰らわれる定めのもとにある。それは自然の摂であり歴史だ。太古では、我ら蝦蟇の気を喰らった蛇は、その腹に溜めた気を人の世の為に使って来た。飢饉があれば雨を降らせ、地をうねる身体は種を運び、大地を肥やした。即ち、蛇とは人にとって神そのものであったはずだ。蛇の化身としてこの世に生まれた蛇の子、大蛇丸よ。考えるのだ。何故、自分が人の身で生まれて来たのかを。何故、人として蛇の事を思うのかを」

大蛇丸「何故だ?蛇の子であるのにわしの身は人の形をしておる。何故わしは人として蛇の事を思うのだ」

大蛇丸の苦悩は大雨を降らせ、大蝦蟇の炎と池の毒を流し去った。
立ち込める煙りと共に大蛇も消え去り、跡には八腕銀香炉だけが残っていた。



八腕銀香炉で焚いた栴檀香樹の香煙で、綱手の身体に廻っていた毒は消えつつあった。しかし、激闘を終えた児雷也の命は風前の灯だった。


消えゆく意識の中、児雷也は思い出していた。大蛇丸が最後に見せた苦悩を、そして、大雨を降らせた大蛇が泣いていた事を。
外は大雨の名残りで霧が立ち込めていた。
児雷也を膝に抱えてうなだれる綱手は、霧の中に気配を感じた。

綱手「だれだい…」

中から現われたのは大蛇丸だった。綱手は大蛇丸を憎んだが、命尽きようとする児雷也を前に、戦う気力は湧いてこなかった。
大蛇丸は二人に近寄り、静かに語りだした。

「児雷也よ、わしは知った。お主の様に義に生きる人がこの世にいる事を。綱手の様に人の為に深い悲しみを負う人がいる事を。これまで、人への憎しみがわしの全てだった。しかし、わしは人の美しい所を知る為、人の形で産まれ堕ちたのかもしれん。大蝦蟇が炎に朽ちながらわしに諭したのだ、人も蛇も共存の道がある事を。児雷也よ、お主だけを黄泉には行かせん」

大蛇丸が手印を結ぶと、その手から迸ったまばゆい光が児雷也と大蛇丸を包み、二人は光と共に消えた。
呆然とする綱手のもとに手の形をした銀細工が残った。その光り輝く銀の手は、児雷也が大蝦蟇を召還する時の手印を結んでいた。
大蛇丸のいた場所には小さな蛇の銀細工が仄かな光を称えていた。
大蛇丸の声が響いた。

「この先、蛇や人が悪事を働く事があるであろう。その時はその銀の手印を結ぶのだ。必ず世を正す力をもたらすであろう。そして唱えるのだ、我来也と・・・」

綱手は銀になった児雷也と大蛇丸を手にしながら、霧の中を空即大蓮花の大花が天に向かって昇って行くのをゆっくりと見上げた。








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